「どちらが正しいか」ではなく、「どちらでもよい」
先生、「とんでもございません」と「とんでもないことでございます」どちらが正しいの?
4~5年前に、私のビジネスマナー研修動画をご覧いただいた方からご質問いただきましたので、こちらの研修動画を作成しました。
※文化庁「敬語の指針」資料より2021年5月20日に一部を切り抜き、抜粋して画像として使用
※日本ビジネスマナー協会 2023年5月実施研修動画「足立区ワークライフバランス推進認定企業 ビジネスマナー研修」より抜粋
「とんでもございません」は自然で美しい言葉遣い
私は「とんでもございません」を使います。そちらの方が自然で美しい言葉だと感じるからです。
20代から30代にかけて、企業の受付や役員秘書を務めておりました。その秘書時代にお仕えした旧華族ご出身の経営者や役員の方々、政治家の方々、そしてお手本となる存在である民間および公的組織の秘書室の方々、皆様が「とんでもございません」とおっしゃっており、この美しい言葉に慣れ親しんでおります。
過去の経験や生き方がその方のマナーや言動に反映される
人間は、生まれてから現在までの経験や普段から見聞きした情報や環境を基にして、総合的な判断を行い、言葉や行動に反映させることができます。これは、学習や成長の過程で培われた知識やスキルを活用する能力があるからです。
生まれ育った環境も、その方のマナーや言動に大きく影響を与えます。これらの要素は、個人の価値観や行動パターンを形成する重要な要因です。家庭での教育や親の影響、学校での経験、友人関係、地域社会の文化などが、言葉遣いや行動に反映されます。これにより、個々のマナーやコミュニケーションスタイルが形成されるのです。
ビジネスマナーに関する知識も、過去の経験や学んだことを基にして、適切な行動や言葉遣いを選択することができます。
顧客満足度向上の観点から見る場合は「お客様に合わせる」ことが重要
ビジネス(仕事)とは、お客様からお金をいただいて利益を得て、その利益の中から給与をいただくことです。会社で働いている方が会社に直接お金を支払うわけではないため、お客様との会話においては「お客様に合わせる」ことが、顧客満足度の向上に非常に重要だと思います。
プライベートでは「自分が美しいと思う言葉を選択する」
プライベートでは、自分自身が付き合う相手を決められるので、自分が美しいと思う言葉を大切にして選択するとよいと思います。「どちらが正しいのか」と争うのではなく、自分が美しいと思えるような言葉を選んではいかがでしょうか。
もめるためにマナーがあるわけではないので、ご自身のお好きな言葉をお選びいただいた方が素敵だと思います。
自分が生まれてからこれまでの経験や体験はかけがえのないものです。それらを大切にすることで、他の誰も考えつかないようなアイデアや境地にたどり着き、イノベーションを起こすことができるかもしれません。自分の歴史を大切にしましょう。
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